比較的かんたんに書くことができる自筆証書遺言ですが、手続面での最大のデメリットは家庭裁判所の検認の手続きです。
①自筆証書遺言を保管していた人、発見した人が家庭裁判所に遺言書を提出し、検認の申立を行なう。
②家庭裁判所は申立人と相続人全員に検認の期日を通知する。
③封印された遺言書は、申立人、相続人の立会いのもとで開封する。
④家庭裁判所は、遺言書の形状、日付、署名など遺言書の内容を確認する。
尚、検認は遺言の有効無効を判断するものではなく、証拠として保全することが目的です。
問題はこれらの手続きに通常1ヶ月以上かかることです。
申立人、相続人は家庭裁判所から「検認済証明書」を発行してもらい、法務局や金融機関の手続きを行ないます。
つまり検認が終わらないと名義変更などの手続きができません。
預金が引き出せない、不動産を売却できないなどの不都合が生じます。
第1004条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
第1005条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。