平成28年1月からマイナンバー制度の運用がスタートしました。
昨年末までに皆様のところにも「マイナンバー通知カード」が届いたはずですが、その後に「顔写真付のマイナンバーカード」を作られた方もいらっしゃるかもしれません。
このマイナンバー制度ですが、不動産賃貸経営をされているオーナーの皆様にとって、どのような影響があるのか確認しておきたいと思います。
所得税確定申告書
もともと現在の法律では、マイナンバーの利用目的は「社会保障・税・災害対策」に限定されています。
そこで最初に出てくるのが「所得税の確定申告書」です。ご存知のとおり来月が申告期限ですが、慌てることはありません。
マイナンバー制度自体が平成28年からの運用ですから、平成28年分の確定申告、つまり来年3月の申告分から、確定申告書にマイナンバーを記載することになります。
不動産の使用料等の支払調書
同一の個人に対して年間15万円を超える賃料を支払っている法人(または不動産業者である個人)は、税務署に「不動産の使用料等の支払調書」を提出しなければなりません。
賃貸物件を法人に貸しているオーナー様はご存知だと思いますが、この「支払調書」自体は賃借人である法人が作成・提出するものです。
ここに「支払を受ける者」として、オーナー様の住所・氏名を記入する欄があるのですが 平成29年1月提出分(今年1月以降の支払分)から個人オーナーのマイナンバーも記載しなければならなくなります。
不動産等の譲受けの対価の支払調書
前述の「不動産の使用料等の支払調書」と同様に、同一の個人に対して100万円を超える対価を支払って不動産を購入した法人(または不動産業者である個人)は「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を提出しなければなりません。
不動産の売買契約の買主が法人の場合には、売主である個人の住所・氏名・マイナンバーを記載した支払調書を作成・提出することになります。
マイナンバーの提示を求められたら…
以前から「支払調書」はありましたので、法人契約をされているオーナー様は、賃借人から郵送されてきたものをご覧になったことが あると思います。
これまでは単なる“確定申告の資料”のひとつと考えてきたかもしれません。今後は相手方が法人の場合には、オーナー様のマイナンバーの提示を求められます。
マイナンバーを取引相手の法人に渡すことに抵抗を感じられる方も多いと思います。
相手方の法人がキチンと管理しているのか、悪用されることはないのか、漏洩してしまうことはないのか、といった心配は尽きないでしょう。
マイナンバーを預かる法人は情報管理を徹底しなければならないという規定があります。もし不正に漏洩させた場合には重い罰則規定も設けられています。
法律上、確定申告書や支払調書へのマイナンバーの記載は義務とされていますが、今のところマイナンバーを記載しないことに対する罰則は定められていません。
正面から向き合うこと
どうしてもマイナンバーを提示することに対する不安が消えない方は、当面の間は法人との契約をしないという考え方もあるかもしれません。
しかしながら、不動産賃貸経営あるいは不動産売却を行なう上で、マイナンバーの提示を気にするあまり法人との契約を避けるのは本末転倒ではないでしょうか。
既に法律があり、制度が運用され始めた以上は、それに正面から向き合っていく方が結果として、うまくいくことが多いと感じています。