家庭裁判所は、「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」について、本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人、検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができます。
この審判によって保佐が開始します。
保佐人は、被保佐人が行なう次の行為について同意権を有し、同意なしに行なわれた場合には、取消権、追認権を有します。
①元本の領収、利用
②借財や保証
③不動産等の権利の得喪
④訴訟
⑤贈与、和解、仲裁合意
⑥相続の承認、放棄、遺産分割
⑦贈与の拒絶、遺贈の放棄、負担付贈与や負担付遺贈の承認
⑧新築、改築、増築、大修繕
⑨短期賃貸借期間を超える賃貸借
第876条 保佐は、保佐開始の審判によって開始する。
第876条の2 家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する。
2 第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、保佐人について準用する。
3 保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない。
第876条の3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被保佐人、その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で、保佐監督人を選任することができる。
2 第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、保佐監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被保佐人を代表し、又は被保佐人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。
第876条の4 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 家庭裁判所は、第一項に規定する者の請求によって、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
第876条の5 保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
2 第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条及び第八百六十三条の規定は保佐の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は保佐人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人を代表する場合について準用する。
3 第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は保佐人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間において保佐に関して生じた債権について準用する。