婚姻の成立には、①当事者の婚姻意思の合致と②届出が必要です。
ですからこの両方が無いと婚姻は無効です。
「無効」ですから最初からダメということです。
一方、いったん婚姻が成立したが、本来禁止されているはずの婚姻だった場合には取消しが出来ます。
「取消し」は取り消されるまでは有効です。
ところで「婚姻意思」って何でしょうか。
「お互いに愛し合って夫婦となりたい」「永遠の愛を誓う」というレベルから、「本当は嫌いだけど財産目当て」とか「相続の都合でカタチだけ」とかもありそうです。
むずかしい問題です。
第742条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
二 当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。
第743条 婚姻は、次条から第七百四十七条までの規定によらなければ、取り消すことができない。
第744条 第七百三十一条から第七百三十六条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
2 第七百三十二条又は第七百三十三条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。
第745条 第七百三十一条の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消しを請求することができない。
2 不適齢者は、適齢に達した後、なお三箇月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。ただし、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。
第746条 第七百三十三条の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消しの日から六箇月を経過し、又は女が再婚後に懐胎したときは、その取消しを請求することができない。
第747条 詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。
第748条 婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
2 婚姻の時においてその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。
3 婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。
第749条 第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項ただし書並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。