金融緩和によって、市場には使い切れないほどの大量の資金が余っている、と言われています。
それなのに「銀行からの融資がうまくいかない」という声や「保証協会の保証なしで、銀行のプロパー融資なんて無理」と思われている経営者も少なくありません。
そのギャップを埋めるには「コツ」があります。
銀行には銀行の事情があって、その事情に合わせた「銀行との付き合い方」を知る必要があるのです。
1:自社に相応しいメインバンクを選ぶ
中小企業にとって、余程特殊な事情が無い限り、メガバンクが「積極的に応援してくれるメインバンク」になることはないでしょう。その他の都市銀行も同様です。
これらの銀行は「保証協会の保証付き」なら融資してくれてもプロパー融資は無理です。
メインバンクとしての関係性を築くなら地元に密着した地域の金融機関です。
2:複数(3つ以上)の金融機関と取引する
創業時から取引している地元の信用金庫がメインバンクなら安心、とは言い切れません。
良い関係性が築けていても、それまでの状況が一変することがあります。さすがに「破綻」は無いと思いますが「合併」は可能性があります。合併される側であれば、融資方針がガラリと変わっても不思議ではありません。
また、取引条件を比較することは悪いことではないので、そういう意味でも複数の金融機関と取引することは有効です。
3:定期的な面談(状況の報告)
金融機関の渉外担当者と仲良くなることは当然ですが、融資担当役席との関係性を築く努力も大切です。
資金が必要な時に「書類だけ」で審査されるよりも、日頃から会社の業況や経営者の人柄などを知ってもらっていたほうが融資審査が通りやすくなります。
もちろん自分の都合で行ったり行かなかったりでは逆効果です。また忙しいのに意味の無い話で時間を取らせることも避けるべきでしょう。
実は渉外担当者でさえ取引先の事業内容をきちんと把握しているとは限りません。こちらから積極的に「知ってもらう努力」を行うべきです。
定期的に、具体的な数字を示しながら実績を報告すれば「信頼」が高まるに違いありません。
4:日本政策金融公庫の活用
民間金融機関の融資とは異なりますが、日本政策金融公庫の融資も上手に活用したいものです。
中小企業に対する支援をする政府系金融機関ですから、低金利で資金調達できる魅力があります。
必要な資金やスケジュール等によって、民間金融機関と使い分けることができますから、一通りの融資制度を確認しておいて損はありません。
5:事業計画書を作成する
金融機関から毎年「決算書」を提出することを求められますが、「事業計画書」も提出する会社は決して多くはありません。
「決算書」は過去の結果ですが、「事業計画書」は将来の目標です。
しっかりと練られた事業計画があり、それに沿った実績があれば金融機関からの評価は高まります。
6:債務者区分(格付け)を考慮する
金融機関は、取引先に対して「債務者区分」という格付けを行っています。
この格付けによって「問題なく融資できる」「融資せずに推移を見守る」「回収を重視する」に振り分けられます。
格付けを下げない努力、格付けを上げる可能性の模索など、取るべき戦術によって金融機関との接し方も変わってきます。
7:後継者(二代目)の存在をアピールする
中小企業の場合、創業社長の人望やスキルに依存した体制であることが多いです。つまり社長がいなくなれば会社も終わり、と思われています。
逆に優秀な後継者がいれば、会社に対して期待感を抱きます。
今は「優秀」でなくても、金融機関への定期訪問へ同行したり、事業計画書の作成に携われば、次第に経営者としての意識が高まるのではないでしょうか。
金融機関は基本的に「貸したい」と思っています。
経営力と人間性を上手にアピールすれば、プロパー融資のハードルはそんなに高くはありません。