限定承認は、相続によって得た財産を限度として被相続人の債務を引き継ぐというものです。
例えば、すべて相続したらプラスの財産よりもマイナスの債務の方が多かった、という事態を防ぐことができます。
しかし限定承認という制度はあまり利用されていません。
主な理由は、
①手続きが煩雑であること
②相続人全員で行なわなければならないこと
が挙げられます。
まず3ヶ月の熟慮期間内に家庭裁判所に対して、財産目録を作成の上で限定承認の申立てをする必要があります。
その後、債権者に対する弁済など、破産の清算に似た手続きが行なわれ、非常に手間も時間もかかります。
また相続人全員の同意がなければ、限定承認の余地はありません。
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
第922条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
第923条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
第924条 相続人は、限定承認をしようとするときは、第九百十五条第一項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。